ホワイトニングは、妊娠中・授乳中は控えるのが基本です。日本歯科審美学会の指針が、妊娠期・授乳期の女性を禁忌症(施術を避ける対象)に挙げています。再開は授乳を終えてからが目安で、待つ間は妊娠16〜27週ごろに歯科健診や治療を済ませておけます。
この記事でわかること
- 妊娠中・授乳中のホワイトニングは、学会の指針で禁忌症に入っている
- 「授乳から何時間あければよい」という時間の基準はない
- 歯科健診や治療は、体調が安定しやすい妊娠16〜27週ごろが目安
- 国内の一般的な歯磨き粉は歯科の漂白剤を含まない。漂白剤入りの海外製品は使わない
- 妊娠に気づく前に施術していたら、中止して産婦人科と歯科医院に伝える
- 再開は授乳を終えてから。健診とクリーニングを先に受ける
公的情報源: 日本歯科審美学会「歯のホワイトニング処置の患者への説明と同意に関する指針」(参照)/厚生労働省 検討会資料「妊産婦における口腔健康管理の重要性」日本歯科医師会・2019年3月15日(参照)/神戸市「妊婦の歯の健康づくり」(参照)
妊娠中・授乳中のホワイトニングは控えるのが基本
妊娠中・授乳中のホワイトニングは、歯科医院でもセルフでも、漂白剤を使う方法は控えるのが基本です。日本歯科審美学会の指針が、施術を避ける対象としてはっきり挙げています。
指針は、体の状態による禁忌症(全身的な要因による禁忌症)として、次の5つを並べています。
- 無カタラーゼ症
- 妊娠期・授乳期の女性
- 気管支喘息などの呼吸器の病気
- 小児
- 光線過敏症
オフィスとホームを分けた書き方ではありません。どちらの方法でも、妊娠期・授乳期は避ける時期として扱われています。
指針には、禁忌とする理由までは書かれていません。海外でも、米国歯科医師会(ADA)が漂白材の安全面の懸念から、妊娠中のホワイトニングは延ばすよう勧めています(Colgate の解説)。急ぎではない美容目的の処置は出産後に回す、という考え方です。
申し込むときは、妊娠中・授乳中であることを問診で伝えてください。歯の状態から見た向き不向きは「ホワイトニングが向かない人・白くなりにくい歯」にまとめています。
授乳中は「何時間あければよい」という基準がない
「授乳から何時間後ならできるか」と調べる人もいます。ですが、指針に時間の基準はなく、授乳期そのものを避ける時期としているのが指針の書き方です。
授乳の合間を空けたり、搾乳で時間をずらしたりして受ける、という考え方は指針の書き方からは外れます。授乳を続けている間は、ホワイトニングを予定に入れずにおくのが無難です。
妊娠を考えている時期に気をつけたいこと
妊娠を考えている時期は、指針の禁忌症に入っていません。ただし、ホームは歯型のトレーを1回1〜1.5時間つけ、1〜2週間ほど続ける方法です(厚生労働省 iiha)。途中で妊娠がわかる可能性も見込んでおくと安心です。
申し込む前に、途中でやめたときの扱いを聞いておいてください。指針は、中断・再開したときの取り決めを、歯科医院があらかじめ決めておくよう求めています。
時期別に見たホワイトニングと歯科の受け方
妊娠から授乳を終えるまでの間、ホワイトニングは控えても、歯科健診や治療は受けられます。とくに妊娠中期は、歯の手入れを済ませておきたい時期です。
日本歯科医師会は、つわりがおさまる4〜5か月ごろに歯科健診を受け、体調の安定した妊娠中期に必要な治療をするよう勧めています(厚生労働省の検討会資料・2019年)。神戸市も、治療の目安を妊娠16〜27週ごろとしています。
時期別のホワイトニングと歯科の受け方(2026年10月時点)
| 時期 | ホワイトニング | 歯科健診・治療 |
|---|---|---|
| 妊娠を考えている | 歯科医院に相談 | むし歯・歯周病を先に治す |
| 妊娠初期(〜15週) | 控える | つわりに合わせ、無理をしない |
| 妊娠中期(16〜27週) | 控える | 健診・治療を受けやすい |
| 妊娠後期(28週〜) | 控える | 出産前に治療を終えておく |
| 授乳期 | 控える | 通常どおり受けられる |
| 授乳を終えた後 | 再開を相談 | 健診とクリーニングを先に |
妊娠から授乳後までの流れ
時期ごとにできること
- ホワイトニングは待ち、歯の健診と手入れは進める
- 1妊娠初期(〜15週)つわりで歯みがきがしにくい時期。痛みなどがあれば歯科医院に相談する
- 2妊娠中期(16〜27週)歯科健診を受け、むし歯や歯周病の治療を済ませる
- 3妊娠後期(28週〜)出産後は通院しにくくなるため、治療はこの前までに終えておく
- 4授乳期ホワイトニングは控え、健診やクリーニングで歯を整える
- 5授乳を終えた後口の中の検査を受けてから、ホワイトニングの再開を相談する
受診のときは、妊娠していること、妊娠週数、出産予定日を歯科医師に伝えます。
図:妊娠中・授乳中はホワイトニングを控え、歯科健診と治療は妊娠中期を目安に進める(日本歯科審美学会の指針・日本歯科医師会の資料・神戸市の案内をもとに整理/2026年10月時点)
神戸市は、出産後は育児で通院が難しくなりやすいため、健診で病気が見つかったら早めに治療を始めるよう勧めています。受診するときは、妊娠していること、妊娠週数、出産予定日を伝えてください。
ホワイトニングを待つ間にしておきたい歯の手入れ
ホワイトニングを待つ間は、妊婦歯科健診とクリーニングで、むし歯・歯周病を防いでおくことに時間を使えます。白くする施術の前に、口の中が健康であることが条件になるためです。
日本歯科審美学会は、歯に汚れがついていたり、むし歯や歯周病があったりすると、ホワイトニングができないとしています。待つ期間に治しておくことが、再開するときの準備にもなるわけです。
妊娠中はむし歯・歯周病になりやすい
日本歯科医師会の資料によると、妊娠中は女性ホルモンの急な増加や、つわりで歯みがきがしにくいことから、むし歯や歯周病になりやすくなります。初期の症状に、本人が気づきにくいことも多いそうです。
同じ資料は、歯周病と早産・低体重児出産の関連も紹介しています。17の研究・1万人以上をまとめた解析では、歯周病の早産に対する危険率は2.01倍、低体重児出産は2.20倍でした。
妊婦歯科健診を受ける
妊婦歯科健診は、市区町村が独自に行っている健診で、回数や費用は地域によって違います。神戸市の場合、妊娠中に1回、無料で受けられ、受診券は母子健康手帳の交付時に渡されます。受診の目安は妊娠16〜20週ごろです。
一方で、妊婦健診を受けた人に対し、妊産婦の歯科健診を受けた人の割合は5.8%にとどまっていました(日本歯科医師会の資料・2019年)。お住まいの市区町村の案内を、母子健康手帳と一緒に確かめておくと受け忘れを防げます。
着色はクリーニングで落とす
コーヒーや紅茶の着色が気になるときは、歯科医院のクリーニングで表面の汚れを落とせます。漂白はしないため、妊娠中・授乳中も相談しやすい方法です。
保険の機械的歯面清掃は、専用の器具で歯の表面を清掃する処置です。2018年度の診療報酬改定で、妊婦は2か月に1回から月1回まで受けられるようになりました(日本歯科医師会の資料・2019年時点)。
歯科医院で歯の管理を受けていることが条件のため、受けられるかは受診先で確かめてください。
クリーニングとホワイトニングの違いは「ホワイトニングとクリーニング(PMTC)の違い」、自宅でできる着色ケアは「歯の着色(ステイン)を落とすセルフケア」で整理しています。
市販の歯磨き粉・テープ・セルフホワイトニングの扱い
市販品やセルフの扱いは、漂白剤(過酸化物)を使うかどうかで分けると考えやすいでしょう。日本歯科審美学会は、漂白の効果が学術的に認められているのは、過酸化物を使う方法だとしています。
方法別に見た漂白剤の有無と、妊娠中・授乳中の考え方(2026年10月時点)
| 方法 | 漂白剤 | 妊娠中・授乳中の考え方 |
|---|---|---|
| オフィス・ホーム | 使う | 指針の禁忌症。控える |
| 海外製の漂白テープ | 含む製品がある | 漂白剤入りは使わない |
| 国内の歯磨き粉・テープ | 歯科の漂白剤なし | ふだんの歯みがきの延長 |
| サロンのセルフ | 使えない | 契約の前に条件を確かめる |
| 歯科のクリーニング | 使わない | 健診とあわせて相談 |
漂白剤を使うか使わないか
- 例
- オフィス・ホームのホワイトニング、漂白剤入りの海外製テープ
- 働き
- 過酸化物で歯の内側の色を明るくする
- 妊娠中・授乳中
- 授乳を終えるまで控える
- 例
- 国内の歯磨き粉・テープ、歯科のクリーニング
- 働き
- 表面の着色汚れを落とし、元の歯の色に近づける
- 妊娠中・授乳中
- 成分が気になれば健診のときに歯科で聞く
図:妊娠中・授乳中は、漂白剤(過酸化物)を使う方法を控え、表面の着色を落とす方法で待つ(日本歯科審美学会の情報をもとに整理/2026年10月時点)
国内のホワイトニング歯磨き粉
国内で売られている一般的なホワイトニング歯磨き粉は、表面の着色を落とし、もとの歯の色に近づけるための製品です。歯科で使う漂白剤(過酸化水素・過酸化尿素)は入っていません。
つわりで泡やにおいがつらいときは、量を減らしたり、体調のよい時間にみがいたりして続けやすくしてください。成分表示に「過酸化」や「ペルオキシ」とある製品は、使う前に妊婦歯科健診などで聞いておくと確実です。選び方は「市販ホワイトニング歯磨き粉の選び方」で解説しています。
海外製の漂白テープ
海外製のホワイトニングテープには、過酸化水素などの漂白剤を含む製品があります。漂白剤を使う点では、歯科のホワイトニングと同じ扱いで考えてください。妊娠中・授乳中は使わないのが無難です。
日本製との違いは「ホワイトニングテープの効果と注意点」で比べています。
サロンのセルフホワイトニング
サロンのセルフホワイトニングでは、過酸化物を使えません。歯科医師・歯科衛生士でない人が過酸化物で施術するのは違法だと、日本歯科審美学会が注意を呼びかけています。
落とせるのは表面の着色汚れまでです。妊娠中でも受け付けるかどうかは店舗の判断になります。契約するなら、回数券の解約条件を書面で確かめてから決めてください。仕組みの違いは「セルフホワイトニングの効果と仕組み」にまとめました。
妊娠に気づく前にホワイトニングをしていたら
妊娠に気づく前に施術していた場合は、その時点で中止し、産婦人科と施術した歯科医院の両方に伝えるところから始めます。影響があるかどうかを、自分で判断しないでください。
伝えるときは、次の内容を手元にそろえておくと話が早く進みます。
- 施術した日と回数:最後に施術した日、通った回数
- 方法:オフィス、ホーム、デュアルのどれか
- 薬剤の名前:ホームなら、ジェルの製品名と濃度(箱や説明書に書いてある)
- 妊娠週数:わかる範囲で、最終月経の日と妊娠週数
指針には、ホームで使う10%過酸化尿素のジェルについて、15年以上の使用実績で重い副作用の報告はないという記述があります。ただし、これは妊娠中の安全性を確かめた記述ではありません。判断は、産婦人科医と歯科医師に任せてください。
妊娠に気づいたときの順番
気づいたらすること
- 自己判断せず、止めてから2か所に伝える
- 1ホワイトニングを中止するホームはトレーとジェルを使わず、手元に保管しておく
- 2産婦人科に伝える施術した日・方法・薬剤の名前を伝え、気になることを相談する
- 3施術した歯科医院に伝える妊娠がわかったことを伝え、残りの予約と契約の扱いを確かめる
- 4再開は授乳を終えてからその時点の口の中の状態を見て、改めて方法を決める
ジェルの箱や説明書は、薬剤の名前を伝えるときに役立つので捨てずに残します。
図:妊娠に気づく前に施術していたら、中止→産婦人科に伝える→歯科医院に伝える→授乳を終えてから再開を相談の順に進める(日本歯科審美学会の指針をもとに整理/2026年10月時点)
契約の途中で妊娠がわかったとき
回数券やコースの途中で妊娠がわかったら、契約書面の「中途解約」の項目を確かめてください。指針によると、1か月を超え、総額5万円を超えるホワイトニングの契約は、特定商取引法の「特定継続的役務」に当たるとされています。
この場合、歯科医院は中途解約の決まりを書いた契約書面を渡す必要があります。それ以外の契約でも、中断・再開したときの扱いを歯科医院に聞いてください。残りの回数を授乳後に回せるかどうかも、あわせて確かめておくと損をしにくくなります。
産後・授乳後にホワイトニングを再開する目安
再開の目安は、授乳を終えてからです。指針が授乳期を禁忌症に挙げているためで、「産後◯か月」といった月数の基準はありません。
授乳を終える時期は人によって違います。ミルクに切り替えた場合も含めて、授乳を続けているかどうかを問診で伝え、歯科医院と再開の時期を決めてください。
再開する前に確かめること
再開前のチェックリスト
- 授乳を終えていること(問診で伝える)
- 口の中の検査で、むし歯・歯周病・歯石がないか
- 知覚過敏が出ていないか
- 詰め物・被せ物・神経のない歯の場所
- 施術前の色見本の番号と、口元の写真
- 前の契約の残り回数と、使える期限
妊娠中・授乳中に着色が増えていたら、先にクリーニングで表面の汚れを落とします。汚れが残ったままでは、ホワイトニングの効果を判定しにくくなるためです。
方法と回数を選び直す
授乳後は、生活の時間帯が妊娠前と変わっていることが多いはずです。通院の時間が取りにくいならホーム、自宅で毎日続けにくいならオフィス、と選び直すこともできます。
施術の直後は、色の濃い飲食物を24〜48時間ほど控えるのが指針の決まりです。回数の目安は「ホワイトニングは何回で変化を実感できる?」、方法の違いは「ホワイトニングの種類と効果比較」で比べられます。
よくある質問(FAQ)
Q1:妊娠中にホワイトニングはできますか?
控えるのが基本です。日本歯科審美学会の指針は、妊娠期・授乳期の女性を、施術を避ける対象(禁忌症)に挙げています。オフィスとホームのどちらも同じ扱いです。歯科健診やクリーニングは妊娠中も受けられるので、待つ間はそちらで歯を整えておけます。
Q2:授乳中は何時間あければホワイトニングできますか?
時間の基準はありません。指針は、授乳期そのものを施術を避ける時期として挙げています。授乳の合間を空けて受けるのではなく、授乳を終えてから再開を相談するのが指針に沿った考え方です。
Q3:妊娠中にホワイトニング歯磨き粉を使ってもいいですか?
国内の一般的なホワイトニング歯磨き粉は、表面の着色を落とす製品で、歯科で使う漂白剤は入っていません。ふだんの歯みがきの延長として使われています。一方、漂白剤を含む海外製のテープなどは、歯科のホワイトニングと同じ扱いで考え、使わないのが無難です。成分が気になるときは、妊婦歯科健診で聞いてください。
Q4:妊娠に気づく前にホワイトニングをしていました。どうすればいいですか?
まず中止し、産婦人科と施術した歯科医院の両方に伝えてください。施術した日、方法、薬剤の名前、妊娠週数をそろえておくと相談が進みます。影響の有無は自分で判断せず、医師の説明を受けてください。
Q5:ホワイトニングは産後いつから再開できますか?
授乳を終えてからが目安です。「産後◯か月」という決まりはなく、授乳を続けているかどうかで決まります。再開する前に口の中の検査を受け、むし歯や歯周病があれば先に治してください。
まとめ
この記事の要点
- 妊娠中・授乳中のホワイトニングは、指針で禁忌症。オフィスもホームも控える
- 授乳後の時間の基準はない。授乳期そのものを避ける
- 歯科健診・治療は妊娠16〜27週ごろが目安。着色はクリーニングで落とす
- 国内の一般的な歯磨き粉は歯科の漂白剤なし。漂白剤入りの海外製品は使わない
- 気づかずに施術していたら、中止して産婦人科と歯科医院に伝える
- 再開は授乳を終えてから。検査とクリーニングを先に受ける
妊娠中・授乳中は、ホワイトニングを止めて、歯の健康を整える期間にあてられます。妊婦歯科健診と妊娠中期の治療を済ませておくと、授乳を終えたあとに再開しやすくなります。
再開するときは、授乳を終えたことを伝えたうえで、口の中の検査から始めてください。歯科医院の選び方は「ホワイトニングクリニックの選び方」も参考になります。
免責事項
※本記事は一般的な情報を整理した参考情報です。妊娠中・授乳中の施術や受診については、産婦人科医と歯科医師にご相談ください。効果や症状の出方には個人差があります。記載の内容は、2026年10月時点の公開情報(日本歯科審美学会・厚生労働省・自治体など)をもとにしています。制度は今後変わる場合もある点にご注意ください。
参考・出典
- 日本歯科審美学会「歯のホワイトニング処置の患者への説明と同意に関する指針」
- 日本歯科審美学会「歯のホワイトニングについて」
- 日本歯科審美学会「歯を白くしたい」
- 厚生労働省 第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会 資料3「妊産婦における口腔健康管理の重要性」(日本歯科医師会・2019年3月15日)
- 神戸市「妊婦の歯の健康づくり」
- 厚生労働省 iiha「歯を白くしたい!ホワイトニングにも歯科健診は大切」
- Colgate「Teeth Whitening When Pregnant: Is It Safe?」(英語)

